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ほんまる!!

桜の花が咲き乱れる庭園に囲まれた立派な瓦葺きの建物…
ここでは名だたる名刀達が付喪神として人と同様の姿形となる。

そしてその刀剣達を指揮するのが俺、宮代 奏(22)
ただの学生だった俺がどうしてこんな事になっているかというと……
まぁ…神社にお参りに行ったら
なんやらかんやら、審神者とやらに選ばれた訳で。
俺はこの本丸と呼ばれる場所で刀剣達の主となるらしい。
大丈夫かなぁ……。

取り敢えず偉い人なんだろう立派な口髭を蓄えたお爺さんから
この後一度神社の方に来るようにと言われたので、ここに来る前に受け取った審神者の正装だという服を着る。
和服なんてほぼ着たことないから悪戦苦闘…。
「よっしゃ…やっとマシに着れた……」
30分程かけてなんとかまともになった服装で早速神社へと向かう。

「すみません、遅くなりました。」
「おぉよう来た。それではこっちへ」
本堂らしき所へと通される。
豪勢な本堂の中には刀掛けに刀が置かれていた。

俺は爺さんに尋ねる。
「で…俺は何をすれば良いんでしょうか?」
「うむ、ここに5振りの刀がある。」
「はぁ…」
「右から山姥切国広、加州清光、歌仙兼定、陸奥守吉行、蜂須賀虎徹という。」
「なるほど。この中から一振り選べと…」
「そういうことだ。察しがいいな」
いくつかの中から初期に1つ選ぶというシチュエーションにどこか既視感を覚える。
「えぇまぁ…こういう感じ知ってるんで」
「……?まぁよかろう。さぁ選ばれよ」
選べと言われても俺には刀に関する知識なんて無い。
故にどれがどんな奴かなんて想像もつかない。
取り敢えず刀身とか鞘の感じで選ぼう…。
適当だって?そんなの初見のものなら当たり前だ。

そして考えた結果俺が選んだのは山姥切国広。
どうしてかと聞かれたら…まぁ、お答えしかねるんだけど。

山姥切を手に取り爺さんにコイツにすると伝える。
すると今度は別室へと通された。
なんでも刀剣を付喪神として具現化する為の部屋らしい。
しめ縄と札に囲まれた、いかにもって感じの間だ。
中心に刀剣を置き、俺は言われる通りに念じ始める。

数分の後、眩い光と共に俺の前に現れたのは白布を被った金髪の…
イケメンだ。綺麗な部類に属されるタイプのイケメンだ。
神様って皆こんなイケメンなのかね、クソが。

「山姥切国広だ。……何だその目は。写しだというのが気になると?」

おや、この子随分とコンプレックスを持っていると見える。
初期刀に選ぶにはちょっと重かったか?
……いや、大丈夫だ問題ない。
「えーっと…俺が貴方を呼んだ宮代です。よろしく」
取り敢えず挨拶は基本だよね。うん。
神様ってもっと謙った方が良いんだろうか…
いや、でも見た目俺と変わらないし…うーん?
考えつつ、ちらりと山姥切を見やる。

俺の視線に気付いた山姥切は
「どうせ…ただの写しだとか思ってるんだろ」
いや、何も言ってないよね、俺。
ヤダこの子…なんてネガティブ。

そこで俺は考える。
折角俺が初期刀に選んだ記念すべき刀だし。
そもそも俺元の元祖山姥切国広知らないし。
俺にとって山姥切国広はコイツな訳だ。

その旨を伝えると山姥切はふいっと目を逸らしてしまった。
あれ、なんかマズイこと言ったか?
しかしそうではなかったらしい。
「…俺は…お前の元に居れば良いのか」
俺に尋ねてくる山姥切はほんの僅かながら気が晴れた様子だ。

無事に初召喚(?)を成功し山姥切国広を初期刀とした俺は
一先ず本丸に戻り各部屋の説明をし終えて一段落。
そこで俺はふと思っていた事を口にした。
「山姥切って長いからお前の事、切国って呼んで良い?」
「………好きにすればいい。」
やったね。
山姥切って言いにくかったのも少しあるけど…
あだ名的なのあった方が親密感湧くもんね。
神様相手にどんな感じに接すれば良いか心配だったけど
上からも何も言われなかったしコレでいいんだろう。

斯くして俺の審神者生活が幕を開けたのだった。



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